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【バスソルトと入浴剤の違いは?】効果的な使い方を解説
この記事ではバスソルトと入浴剤の一般的な違いと、それぞれの歴史と効能、効果的な入り方を説明していきます。
近年、お風呂にバスソルトを入れて楽しむ方が増えています。さっぱりとした使い心地と、アロマオイルやハーブとの組み合わせによる香りでリラックスできるのがバスソルトの人気の大きな理由の一つです。
しかし、「バスソルト」とは何か?という質問をすると、多くの人が「お風呂に入れる塩」ということ以外、あまり出てこないのではないでしょうか。
バスソルトは入浴剤の一種です
バスソルトはいわゆる「入浴剤」の一種になります。 ミネラルを中心とした成分となっており、入浴する際に風呂に入れる入浴剤のことです。
入浴剤とは、お風呂に入れて様々な効果が見込まれるものを総称して言います。
人が使用することによって、温浴効果や清浄効果が見込まれるものになります。
日本浴用剤工業会のホームページを参考にすると、以下5つのカテゴリーがあります。
例えばギフト用などに人気であるバスボムは、主に炭酸水素ナトリウム(重曹)で出来ているため、この区分では②になります。
バスソルトはこの区分の中では、①の無機塩類入浴剤に分類されます。
無機塩とは、いわゆる食塩やミネラルのことを指します。
無機塩類入浴剤(バスソルトや温泉成分剤)は、それらをお風呂に入れることにより入浴による温熱効果や清浄効果を高める効果があります。
また入浴剤には他にも、「化粧品」と「医薬部外品」、「雑貨」の三つの分類があります。
日本浴用剤工業会のホームページには、医薬部外品である化粧品と、そうでない化粧品の区分を始めとして以下の様に書いてあります。
化粧品の入浴剤に関しては
薬事法による分類であり、化粧品と医薬部外品化粧品については、同法第2条第3項によって『人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、または皮膚もしくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。』と定義されています。したがって、化粧品としての入浴剤はこの定義に適うものでなければならず、表示できる効能は「(よごれをおとすことにより)皮膚を清浄にする」「皮膚をすこやかに保つ」「皮膚にうるおいを与える」等の化粧品の効能の範囲(現在56の効能が行政通知で示されている)に限定されます。
化粧品分類の入浴剤は、語れる効能が肌に対する効果に限定されます。
一方で医薬部外品としての入浴剤は、人体の作用全体に対して効能がうたえます。
一方医薬部外品は同法第2条第2項によって『人体に対する作用が緩和であること。』とされています。ここでいう人体に対する作用が緩和であるとは、正常な使用方法の下で人体に強い作用を及ぼさないことに留まらず、人体に対しても強い作用を起こさないことを意味します。
雑貨は以上の二つの認定を受けず、かつ効能がないものが分類されます。
バスソルトの歴史
バスソルトの歴史の始まりは明確に記されている書物はありませんが、塩はローマ帝国では貨幣として使われていました。
そのような文明にとって重要なものとして使われていたそばで、アジア圏では塩水を使った治療などが度々行われていました。
また19世紀にはタラソテラピー/海水浴健康法というものが西洋で流行し、海水に浸かることが体の巡りがいいと言われ始めたことからお風呂に塩を入れる健康法、そしてバスソルトもそれに準じて広く浸透していったのではないかと考えられます。
紀元前5世紀頃に活躍していた医学の父と呼ばれている古代ギリシアのヒポクラテスも、著作にて塩や塩水の健康効果について記しています。
バスソルトの効果
何故、バスソルトが健康促進や治療法として使われているのでしょうか?それは塩の成分がヒントになります。
塩には様々なミネラルやナトリウム、イオンが含まれています。
栄養を細胞に取り込むための浸透圧の調整や、神経から筋肉へ電気信号を伝える働きを担っており、それが身体の細胞や神経、筋肉の働きに影響を与えるため、人間の身体に必要不可欠な成分です。
そのため、バスソルトを通じて肌から成分を摂取することでその働きをサポートすることができます。また塩類は皮膚の表面のタンパク質と結合して膜を形成するため、その膜で身体の保温効果が高まることがわかっており、湯冷めや冷え性に効き、発汗作用によるデトックス効果が見込めます。
(浴用剤工業会HPより)
またバスソルトにはハーブや精油(エッセンシャルオイル)を配合したものも多く、アロマの香りによるリラックス効果も期待することができます。
バスソルトの種類を解説
昨今「バスソルト」と呼ばれているものにも、様々な種類があります。一つがいわゆる私たちが「塩」と読んでいるものである塩化ナトリウムを使ったもの、もう一つは硫酸マグネシウムを使ったバスソルトです。
主に塩化ナトリウム成分から作られたもの
塩化ナトリウムは簡単に言うと私たちが「塩」と呼ぶものです。
バスソルトに使われる塩は塩化ナトリウムの他にマグネシウムやカルシウム、鉄分といった他のミネラル成分が含まれたものになります。
死海(デッドシー)のお塩がよくバスソルトに利用されているのは、普通の海水に比べ、様々なミネラルが含有されているからです。
硫酸マグネシウム成分(エプソムソルト)
硫酸マグネシウムと言うとなじみがありませんが「エプソムソルト」と言えばぴんと来る方も多いのではないでしょうか?
エプソムソルトこと硫酸マグネシウムは塩類ではないのですが、エプソムソルトという呼称で呼ばれています。
その理由はエプソムソルトの正式名称である硫酸マグネシウムが発見された時の状況から来ています。
17世紀にイギリスのエプソム村の近くで硫酸マグネシウムが採れる場所が発見され、塩の様に見えることから「エプソムソルト」と名づけられたのです。
海水と同じミネラル分を含んだ硫酸塩とマグネシウムの化合物の結晶になります。硫酸というと、危険な印象を持たれる方もいるかと思いますが、元々の意味は鉱物由来の物質なのでエプソムソルトは危険物ではありません。
また豆腐を作る際に使われる「にがり」の名称が「塩化マグネシウム」であるため、同一視される方もいらっしゃいますが、「硫酸マグネシウム」であるエプソムソルトとは別物です。
バーミンガム大学の研究(※英文献)で、エプソムソルトを入れて入浴すると経皮からマグネシウムが吸収され、また余分なマグネシウムは尿として排出されていることがわかっています。そのため、エプソムソルト入浴を行うことで、必須ミネラルであるマグネシウムが適切に摂取することができます。
バスソルトを使った正しい入浴方法
次はバスソルトを使った正しい入浴法について説明します。
分量の目安
バスソルトは一般的な湯船の量(150~200リットル)に対して、60グラム程度だと言われています。
水の量を増やしていくにつれて、バスソルトの量も比例して増加していきます。
多すぎても少なすぎても良くないので、きちんと計量して入れるようにしましょう。
量が増えるため、コストは増しますが、少し多め前述の海水健康法、いわゆるタラソテラピーと同じような効果が実感しやすくなります。
もちろんこれはたっぷり使う分量ですので、標準的な量としては上記の湯量に150グラム程度(標準的な計量スプーンで5~7杯)です。
発汗によるデトックス効果、塩が肌を覆いコーティングすることでの温浴、美肌効果を感じることができます。
おすすめのお湯の温度
入浴の際の適温は38度から40度程度だと言われています。
バスソルトを入れた場合は、ぬるめのお湯で長く浸かるのが効果的です。
そうすることでバスソルトがよりよく効くようになります。
身体は洗い流さない、浴槽は洗い流す
またバスソルトは成分や温浴効果によるデトックスを通じた美肌効果が期待できます。
そのため、湯船から上がったあとは身体を流さないでそのまま湯船から上がるのが、美肌効果と温浴効果をより増幅させます。
先述したように塩分を含んだ水が肌をコーティングするためです。
浴槽はお湯を抜いたあとそのままにしてしまうと、塩が金属と反応し、錆びて痛んでしまう可能性があるのできちんとシャワーなどで流すようにしましょう。
バスソルトを使う際の注意点
入浴を避けた方が良い場合
体調不良、食後すぐ、飲酒後、バスソルトを入れたお風呂に入浴するのは避けましょう。
のぼせやめまいを引き起こします。
肌に合わない場合
まれにバスソルトに入っているものや、塩が合わずに肌がぴりつくことがあります。
また体調によっても塩やエプソムソルトのミネラル成分が刺激となって感じられることがあります。
その場合は我慢して入り続けずに、きちんとお風呂から出てお湯を抜きましょう。少しのぴりつきでも肌に多大なる負担を掛けている場合がありますし、入り続けて肌が荒れることもあります。
浴槽・風呂釜への影響や残り湯の注意点
塩類が使われているバスソルトは塩のため、金属を錆びさせます。
そのため浴槽の種類によっては、入浴後きちんとシャワーで洗い流さないと痛みます。
また追い炊き機能を使うと風呂釜、配管などの給湯設備が痛むのでバスソルトを使ったときは追い炊きは止めましょう。
そして同じ理由から残り湯を洗濯などに使うと洗濯槽を痛ませるので控えましょう。
対してエプソムソルトは、いわゆる硫酸マグネシウムという成分がメインであり、塩類ではないため金属を痛ませることはありません。
なので安心して使うことができます。
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Writer
tatoubi